八村塁、なぜ協会批判⁈

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今やNBA(ナショナル・バスケットボール・アソシエーション: National Basketball Association)での活躍が当たり前となった八村塁。パリオリンピックでのプレイも記憶に残るなか、彼の口から協会(日本バスケットボール協会)を批判しているととられるような発言があり、世間を騒がせています。いったい何があったのでしょう。わかりやすく解説!

八村塁ってどんな選手?

 八村塁選手は、富山県出身。父親はベナン人、母親は日本人。中学生でバスケットボールを始め、日本の高校の経て、米国のゴンザガ大学に進学。2019年のNBAドラフトにてワシントン・ウィザーズから1巡目9位指名を受けました。日本人でNBAドラフト1巡目指名は初の快挙です。
 ウィザーズで4シーズンプレイしましたが、1巡目指名に恥じない活躍を見せました。NBAで当たり前に出場する日本人の姿は、祖国の耳目を集め、感動を与えました。2023年1月にロサンゼルス・レイカーズに移籍。数多くのスーパースターが在籍した名門レイカーズでも、八村選手は堂々とプレイし、ヘッドコーチから「彼はわれわれのチームで最も安定した選手だ。」と言わしめました。
 NBAの舞台で中心として活躍した初めての日本人。それが八村塁選手です。

どんな協会批判⁈

①2024年11月13日の発言
「日本代表としてずっとやってきてて、日本代表のやり方というか、そういうところがあまり僕としてはうれしくないところがあって。僕もNBAでやっているなかで、子どもたちのためとか、日本のバスケを強くするためにやっている。けど、日本代表のなかでその目的ではなく、お金の目的があるような気がする。」「男子のことがわかっている、プロとしてもコーチをやったことがある、代表にふさわしい人になってほしかった。」

②2024年11月23日の発言
「プレーヤーファーストの精神が見られない。そういう方針の日本代表ではプレーしたくないし、そういう団体とはやりたくない。日本代表は活動費が必要だと言っているが、その活動費がどこに使われているのか。自分たちの利益になることを先にやっている。」「(ホーバス監督については)練習のやり方、ミーティングも世界レベルではないんじゃないか。日本協会の人たちは世界レベルのコーチを選んだというが、そもそもその人たちが世界を見たことがない。」「日本代表でやりたいが、それは彼ら次第。代理人を通してどうすべきか話しているが、(協会は)フォローしたくないのだろう。ずっと我慢している。(2028年ロサンゼルス五輪出場は)分からない。」

批判の背景は?

 批判の内容を大きく分けると二つ。
 一つは、JBA(日本バスケットボール協会)は利益優先になっているように見える、という批判です。JBAは公益財団法人です。誰でも設立できる一般財団法人とは違い、公益目的事業を行い社会貢献することを目的とする団体で、活動内容の制限がある代わり、税制上の優遇措置があります。バスケットボールを通じて、国民の心身の健全な発展に寄与する、となっています。
 批判は、それから外れてるのでは?ということでしょうか。八村選手は「協会の内部の人や、以前に働いた人も連絡してきて賛成してくれた。やり方がおかしいのは昔かららしいけど、誰も言っていなかっただけ。」とも発言しています。
 もう一つは、明らかにトム・ホーバス監督が日本代表監督にはふさわしくないと批判しています。
 W杯でパリ五輪出場権獲得を決めた日の翌日(2023年9月3日)、会見で、ホーバス監督は八村選手の五輪参加について「入ってほしいが。やりたいなら彼から声をかけて。私たちのスタイルは変わらない。私たちのバスケをやります。(八村選手が)やらないんだったらこのメンバーでいいチームを作りましょう。」とコメントしてます。これが伏線ではないでしょうか。北米四大プロスポーツリーグのひとつで世界有数の人気を誇るNBAで活躍する選手が、これを聞いて怒らないわけがなく、ホーバス監督のこの発言には、何の意味があるのでしょう。NBAでは実績のある人がヘッドコーチに就任するのがほとんどです。ホーバスのNBAでの実績は、1シーズン、2試合の出場だけ。
「お前誰だよ」と言い返す八村選手の反応も当然だと思いますがいかがでしょうか。

協会やまわりの反応は?

 八村選手の発言を受け、日本協会は八村選手の代理人とオンライン対談を行いました。日本協会の渡辺信治事務総長は「八村選手を商業目的のために引っ張ったような意図はなかった。五輪前の代表戦を含めてミスコミュニケーションがあり、彼に負担をかけてしまった」「関係修復の時間的猶予はある。コミュニケーションを取っていきたい」と語りました。
 スポーツ庁の室伏長官は「協会は、かつて国内リーグ分裂騒動などの問題があった。そこから東京五輪では女子が銀メダル。さらにNBAプレーヤーが日本から出てきた。Bリーグも発展し、素晴らしい改革が行われている。」と、近年の日本協会の組織改革を振り返り、「選手もいろいろ言いたいことがあると思うが、よくコミュニケーションをとり、歩み寄る姿勢が必要。協会側も選手も、一緒に歩み寄って問題解決してほしい。」と述べました。
 協会の三屋裕子会長は、改善策として海外選手に一本化した連絡窓口を設置する考えを示し、「選手が安心してプレーできる環境をつくるのがわれわれの仕事。コミュニケーションについて改善しないといけない。」「会長として、どういう立場で何を言うか、私自身珍しく悩んだ。(対応が遅いとの指摘に)批判は甘んじて受ける。」「八村選手が発言するのは彼の権利。渡辺選手が(仲裁にあたる考えを)覚悟を持って発言してくれた。私ができることは、組織としての考え方を伝え、彼らがバスケットに集中できる環境をつくること。」などと語りました。果たして雪解けを迎えることができるのでしょうか。

 サッカー、バレー、卓球、バドミントン、水泳…。世界に通用する選手が現れ、影響を受けた子供たちが増えていくなか、「弱小日本」時代の負け犬根性と自分の保身だけで形成された協会の人間による腐敗した組織は、急には変わらないのです。日本のスポーツは、これまで同じことを繰り返してきました。
 八村塁二世や河村勇輝二世は、すぐに現れます。協会の老害の皆さん、できれば早めにお引き取りをお願いいたします。

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