そうきましたか、上沢さん!

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 話題に事欠かない日本のプロ野球!佐々木朗希投手のポスティングに始まり、田中将大投手の自由契約、甲斐捕手の巨人移籍、源田選手の不倫と、よりどりみどり。
 そして、ここにきて地道にアンチ記事が消えない、上沢投手のソフトバンクスホークスへの移籍。何が問題で騒がれているのでしょうか。わかりやすく解説!

これまでの活躍は?

 専大松戸高校時代は甲子園出場はなかったものの、日本ハムファイターズにドラフト6位指名でNPB入りを果たします。1年目、2年目は一軍登板はありませんでしたが、3年目(2014年)は最初から先発ローテーションに入り、8勝(8敗)をあげました。2023年までで通算70勝(62敗)。目立った成績とは言えないものの、先発ローテーションをしっかり守ったことで、いつしか球団の顔というイメージで、欠かせない投手の一人という立ち位置を確立していたのではないでしょうか。


 そして上沢投手は、2023年オフ、ポスティングシステムによるMLB移籍を球団に願い出ます。球団は後押しをします。結果、タンパベイ・レイズとマイナー契約を交わします。年俸22万5000ドル(約3300万円)で、これにより日本ハムへの譲渡金は、なんと90万円ほど。ただ同然でした。
 キャンプ参加後、オープン戦にも投げましたが結果は出ず、すぐに金銭トレードでボストン・レッドソックスに移籍しました。
 結局メジャー登板は2試合のみ(勝敗つかず)で、マイナー登板は13試合で3勝3敗、防御率6.54と、散々な結果でした。

そしてソフトバンクへ・・・

 オフの11月1日にフリーエージェント(FA)となり帰国。ここがポイントですが、国内FA権を取得していない段階でポスティングシステムを利用して渡米、そして1年後にFAになったわけです。身分としては、NPBでプレーする場合、どの球団とも契約できることになりました。
 悪く見れば、FAの抜け穴としてポスティングを利用した形です。上沢投手は、球団の了承を得ることでMLBに行けたわけで、球団に恩を感じるのが普通。当然、古巣日本ハムと契約を交わすと思われました。事実、帰国後は日本ハムの球団施設を練習で使用していたとのことです。

 ところが・・・・皆さんご承知の通り、上沢投手は、ソフトバンク・ホークスと契約しました。4年契約で総額8億円とも10億円とも言われています。同じパ・リーグのライバルチーム。そのニュースに球界や野球ファンは騒然となります。日本ハムもオファーはしていたようですが、単年契約だったようで、条件が有利なソフトバンクを選んだ形です。ちなみにソフトバンクには似たような経緯で入団した有原投手がいます。有原投手は、2020年オフにポスティングシステムでテキサス・レンジャーズに移籍、2年間で通算3勝。そして2023年1月、3年総額15億円規模の大型契約でソフトバンクに入団。移籍後は2年連続2桁勝利で最多勝(14勝)も獲得しました。
 日本ハムは、続けざまに米国へ送り出したエース級を、ライバル球団に奪われたのでした。

賛否両論

 上沢投手のソフトバンク入団について、やはり否定的意見が圧倒的に多いようです(だから記事にしているわけですが)。YouTubeの撮影中にこのニュースを聞いたプロ野球OBの宮本氏は「うそぉ~」と驚き、「日本人の大事にしていた義理とかもうなくなったね」と発言。同じくOBの上原氏も「ポスティングというルール自体がダメ」と続けました。ほかにもたくさんのOBが批判の意見を述べてます(なんせYouTubeが多いですから)。上沢投手の道徳的な部分を責める意見と、制度自体を非難し、上沢投手自体は悪くないとする意見にわかれているようです。
 上沢投手に対する風当たりの強さに、まず「1年であきらめるのかよ!」との思いがあるような気がします。それでも古巣に義理立てればよかったんでしょうが。上沢投手は渡米中から新庄監督とは連絡を取り合っていたようで、その新庄監督も「悲しい」と気持ちを述べてます。それを上沢投手はどう聞いたのでしょう。また、ソフトバンクには近藤選手や有原投手といった日本ハム時代の戦友がいるのが、移籍の決め手の一つと報道されていますが、気心知れた仲間なら、日本ハムにたくさんいるような気がしますがどうでしょうか。
 制度の問題は確かにあると思います。佐々木投手のように、高卒で入団し、5、6年でMLBに行かれては、NPBは養成機関となってしまいます。しかも1、2年で通用しないからといって帰国し、NPBのライバル球団に行かれては、そもそも最初のドラフト指名、選手の保留制度もなし崩しとなってしまいます。ポスティングシステムは球団さえ了承すれば使える制度です。つまり入団の条件にもなりうるわけです。「ルール上は問題ない」ということは、ルールに抜け道となる落ち度があるということ。OBのかたがこぞって改正案を述べています。 

日本ハムは上沢投手を必要としたのか?

 ところで、なぜ日本ハムは単年契約による再契約を提示したのでしょうか。他球団の動きを読んでなかったんでしょうか。さらに言えば、なぜポスティングシステムによる移籍を認めたのでしょうか。当時、球団CBOの栗山氏もエールを送っていました。球団の、上沢投手を保留する熱量が低いように感じるのは私だけでしょうか。エスコンフィールドという自前球場に本拠地を移すことで、球団経営は改善し、他にもっといい選手がとれるという自信でしょうか。
 ファンの思いだけで球団経営はできません。佐々木投手のポスティングも、結局そういうことです。大谷選手だって、MLBでダメだったら、ソフトバンクにいたかもしれません。結局、活躍できなければ、説得力は得られないということですね。

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