佐々木朗希、ポスティングでMLBへ!何が問題?

スポーツ

日本球界の至宝、いよいよメジャーへ!でも賛否両論が!
そもそも何が問題で騒ぎになっているのでしょう。
佐々木朗希問題をわかりやすく解説!

ポスティングは抜け道?球団の裁量による⁉

 NPB(日本野球機構)登録選手は、自分の意志でMLB(メジャーリーグベースボール)どころか、他のNPB球団にも移籍できません。「保留制度」というもので、球団の保留名簿に記載され、球団が保留権を有する選手については、国内外を問わず、選手が他球団に移籍することができない仕組みになっています。

 例外が、FA(フリーエージェント)制度。年間145日以上一軍に在籍したシーズンが、8シーズン(国内FA)から9シーズン(海外FA)に達した選手は、この資格を取得でき、他の球団と自由に交渉できるようになります。しかし、この制度では、移籍できる年齢が早くても30歳近くになります。
 問題の一つがこれです。

 MLBに挑戦したい選手は「なるべく若いうちに」と願うようになります。
 そこで、近年利用されているのが、ポスティングシステムです。
 制度というよりは、選手が球団にお願いして了承されることで成立する仕組みです。

 佐々木朗希選手は、今回ポスティングを球団に了承されたことで、MLBへの道が開けました。
 しかしこのことが、プロ野球ファン、ロッテファン、野球関係者の賛否を招いているわけです。

ポスティングの条件は⁉

 なぜ、選手は自由に球団を行き来できないのか。野球を職業として生きていくには、球団に契約してもらわないといけないわけで「契約してやったんだからうちのために働け。よそに行くなど言語道断。」ということです。

 FA制度は、一定期間チームの主力となった選手に利用する権利が与えられます。つまり「契約したチームに義理は果たしましたから、そろそろ他所のチームに行ってもいいですよ」ということです。
 FA資格を取得していない選手が、ポスティングシステムでMLBに行きたい、と球団に訴えた場合、球団の判断として
 ①球団にそれなりに貢献したか
 ②MLBで活躍することを望む世論
 ③移籍により球団に入るお金

が主なポイントになると思われます。

今回、①と③が、問題視されています。

活躍が足りない⁈

 佐々木朗希投手の成績は、完全試合を達成するなど派手な一面はありますが、過去のポスティングによるMLB移籍選手に比べると、物足りなさを感じるという意見が多いです。
 実質1軍で登板があった2021〜2024年の4年間で、登板64試合、29勝15敗。直近のシーズンでは、登板回避が目立ち、それが「MLBに行く前にけがをしたくないのか」と捉える見方もあり、悪い印象を与えているようです。

 過去のポスティング移籍選手のようにトップクラスの成績を残したわけでもなく、チームが優勝したわけでもないのに、なぜ球団は認めるのか、もっとチームに貢献してからだろう、というわけです。
 これが①の問題です。

なぜ25歳まで待てない?

 ポスティングシステムを利用した場合、その選手を獲得したMLB球団から、日本球団へ譲渡金が支払われます。この譲渡金は、選手が契約で保証される額により変動します。
 ここに25歳ルールが影響してきます。
 MLB球団が25歳未満の海外選手を獲得する場合、契約金等の総額を年間500万ドル(約7億6000万円)程度に制限するルールが設定されています。マイナー契約(メジャー出場は可能)しかできないため、ポスティングシステムを利用した場合に契約金や年俸の総額によって変わる旧所属球団への譲渡金は大きく減り、NPB球団の見返りが少なくなります。ちなみにドジャースに移籍した山本投手の場合、それまで在籍していたオリックスに約72億円の譲渡金が払われたといわれています。
 あと2年待てば、25歳ルールの縛りがなくなり、本人の契約、球団への譲渡金も跳ね上がることが予想されるなか、今ポスティングを望むことが、「球団への配慮」の無さと捉われている、これが③の問題です。

佐々木朗希のポスティング移籍は裏切りか⁈

 佐々木朗希投手は、入団当初から球団に対し、MLBを目指している旨を話しているといいます。
 入団時から、当番回数、投球数、登板間隔を制限し、段階的に育成されてきましたが、それについてあるNPBのOBが「当初の契約条項になっているのではないか」と言っていました。うがった見方をすれば、全てがMLBに行くためだと考えればつじつまが合う気がします。ずば抜けたスター選手が、自分の国でパフォーマンスを見せてくれることを期待していたなか、片りんを見せただけで去っていくことは、ファンに対して罪深いと言わざるを得ません。
 そもそもロッテは、この選手のメジャー移籍をどう予想していたのでしょう。既定の範囲なのか、世論を慮(おもんぱか)ったのか。移籍に不満のロッテファンは、球団に問いただしたいのではないでしょうか。

 一部の報道では、「ドジャースとの密約説」がささやかれているようです。
 大谷選手、山本選手の延長線上に、佐々木朗希選手があったのか。
 ドジャースは、大谷選手と10年1000億円の大型契約を結びましたが、新たなスポンサー契約など、それ以上の経済効果で、軽く元を取っているといわれています。選手の獲得は、戦力アップだけではないのです。

身近になったMLB

 大谷翔平という、MLBで何度もMVPをかっさらう選手が出てきた今、ポスティングを「裏切りだ」と決めつける考え方が、もう古いのでしょうか。侍JAPANで大谷やダルビッシュから聞く話は、単なるメジャーのすごさではなく、世界の第一線で活躍している選手のトレーニングや私生活、マインドなど、NPBにいては味わえない甘美で胸が高鳴るものだということは想像できます。
 かつて「NPBで活躍できたんで、次はメジャー挑戦だ」だったのが、今は最初からMLBを目指す。それに見合う才能を持った若者に、NPB球団が「契約してやってる」という上から目線で制度を盾に取ることが、世の流れと乖離(かいり)し、ファンを混乱させている気がしますが、いかがでしょう。大谷、佐々木になりうる選手は、この先も必ず出てきます。

 NPBで名選手、名監督だった重鎮が、「メジャーでは通用しない」「わがまま」などと言いたい放題。ファンが言うのならわかりますが、時代遅れに聞こえなければいいですね。

タイトルとURLをコピーしました