Baseball Elegy with Sons
~いま振り返る、親おやドキュメント~
地元の小学生野球チームから中学生のクラブチーム。
子ども3人トータル11年、野球少年の親を経験したおやじの奮闘記です。
「あるある」と笑ってください。
「わかるわかる」と泣いてください。
こいつが少年野球親のドキュメントです。
夫婦仲をさらすことになる親当番
ここでクイズ。
小学生のチームではそうでもないが、中学生のチームになると、目につくもの。
なーんだ?
答え・・・倦怠期の夫婦。
子どもが大きくなるにつれ、『ケンタイ度』は増していく。
三男が硬式のクラブチームに入ったが、そこは親当番が「夫婦セット」で割り振られる。
必然に各夫婦の生態を目にすることになる。
基本、お互い愛想が無い。
お父さん同士、お母さん同士では、とても愛想よく話すのに。ほとんど口を聞かない夫婦も珍しくない。
そこそこ険悪な夫婦もいる。
車も、どちらかが運転で、どちらかは助手席ではなく後部座席に乗る。
驚いたのは、お父さんが自分の車で、お母さんは別のお母さんの車に乗せてもらうパターン。本当にあるのだ。
口を聞くのも顔を見るのも嫌なんだろうなぁという感じ。
さらには、本当に人前で言い合いする夫婦がいる。人目も憚らずに。
それは、周りが気を使うほどで、相手が言うことが正しかろうがどうだろうが、とにかく強く否定するので、否定合戦はまあまあの時間を要する。
その間、周りはシーンとなるが、お構いなし。
(そのぐらいのことでそこまで言わなくても)
こういう夫婦は、個々だととても良い人で、みんな小首をかしげる。
家の中での喧嘩を人前でも我慢できなくなっているのか、よくもまぁ、夫婦になったもんだと感心する。
まるで中東とイスラエルである。

最後に登場するのは、とてもとても『ラブラブ』な夫婦。これはこれでめんどくさい。
奥さんが、何かと言うと旦那の話をする。
「〇〇なんで困ってるんですよー♡」と、まるで困ってない顔でのろける。
当然周りはどっちらける。お前の旦那のことは知らねーよ!
私生活を隠せないという意味では、喧嘩夫婦と結局一緒。
夫婦は所詮他人。関係性はどんどん変化する。
それは千差万別。
子は鎹(かすがい)と言うが、鎹が野球に打ち込めるよう、親は夫婦関係においても我慢が必要なのである。
「お父さん審判」という名の苦行
苦行・・・悟りや目的達成のために行う厳しい修行
お父さんたちが、審判をすることがある。
練習試合だけでなく、公式戦でも。
苦行と言ったが、徳を積むわけではない。
むしろ、トラウマになる。
大袈裟ではない。本当になるのだ。
小学生の時は、まぁ比較的、重圧は軽い。
だが、そうでもない場合もある。
地元から少し離れた地域の大会に出ることになった。
その大会では、球審以外の審判(塁審)は、対戦する両チームのお父さんが行うルール。(これも珍しい。よくあるのは、前の試合の負けたチームが行う等のパターン)
1回の表、相手の攻撃。
内野ゴロと内野フライでツーアウト。3番打者も内野ゴロでスリーアウト。
攻守交代の間、相手監督が球審と話している。
背の高い、背筋の伸びた60代後半ぐらいの男の監督。
球審は、何かなだめている感じ。
(なんだ?)
相手監督が少し興奮し、声が大きくなった。
「あんな審判じゃやっとれんだろ!」
どうやら、内野ゴロの一塁アウトのジャッジに文句を言っている。
一塁塁審は、こっちのチームのお父さん。
(そんなに際どい判定だったっけ?)
みんな小首をかしげる。
そのうち、相手監督はベンチに戻り、球審が一塁塁審のお父さんに何やら話していた。
試合は再開した。

試合が終わった。
一塁塁審だったお父さんが戻ってきたので、事情を聴いた。
球審から『あの監督は地元では有名で、すぐ審判に文句を言う。私があなたに注意したらおさまるので、注意を受けた感じでお願いします』と言われたとのこと。
何という傲慢!そして不条理!
ミスジャッジには目をつむってやるから注意しとけ、ってこと?
そもそも全然ミスジャッジではない。
こんな奴が子どもの指導を?聞けばこの地域の少年野球界のドンらしい。
注意されたお父さんも、判定に自信はあっただろうが、試合終了までつらかっただろう。
こんな地区の大会、出る価値なし!
そして審判という苦行は、中学生の硬式リーグになると、一気にその過酷さを増す。
サラリーマンなのに罵声浴びる⁉︎ 〜中学生リーグの審判編〜
うちの三男が入部した硬式野球チームが所属するリーグは、公式戦もほとんどお父さん審判で行う。球審もお父さんが行う。
球審ははさすがに誰でも、というわけにはいかないので、経験者や慣れている人が行うが、塁審は、基本当番制だ。
年にニ度、リーグ主催の審判講習会があり、原則、全員参加だ。
実技講習では「キャッチ!」「ヒズ、アウト!」などと、何度も言わされる。
大人になって初めてではないか、というぐらいの大声を出す。
ルールを熟知したうえで、ポジショニングや連携、サインなど、かなりの技術を要求される。
とはいえ、だ。サラリーマンなどのお父さんたちである。
そもそも野球を知らない人、スポーツが不得意な人もいるし、ましてや審判。
どこかで、完璧を要求されるわけではないだろう、とたかを括っていた。
これが間違い。そう、大間違いなのだ。
人間性にもよるのだろうが(私の知る限り人間性に問題がある人がほとんどだが)、試合における審判のジャッジには、各監督は、たとえお父さん審判であっても、厳しい。
いや、厳しいなんてもんじゃない。
素人のお父さんが、付け焼刃でも一生懸命努力し、緊張しながら頑張っているわけだが、なぜそれに躊躇なく、厳しく、まるでプロ野球審判レベルを求めてくるのだろうか。(やはり人間性だ!)
際どい判定の場合、自チームに不利なジャッジには、だいたい、なんか言う。
「はぁ、セーフ?」
「アウトだろ!」
「おかしいだろー」
これが聞こえると、顔がひきつる。
ジャッジに自信があっても、なんか揺らぐ。目が泳ぐ。
いや、子どもの野球じゃないすか。
アマチュアじゃないすか。
緊張しながら一生懸命やってますよ。
同じリーグのあるチームに、ひどい監督がいた。
なんと、試合で何度も退場させられている。(お父さん審判に!)
退場させられるほど、審判に文句を言うのだ。(お父さん審判に!)
普段からガラが悪い。いや、人間として悪い。見ていてわかる。
子どもや父母の前でも、巻き舌で悪態つくような態度。
なぜこんな監督がいるチームに子どもを預けるのか不思議だが、ひょっとしたらいい面もあるのか?。(不良の慈善ってやつか?)
一つ上の学年のお父さんが、我が息子の中学生最後の試合で塁審をしていた。
際どい判定をジャッジした。
そのガラの悪い監督がベンチから飛び出てきて、言った。
「おい、そこの審判!どこに目をつけとんか!おお!コラ!」
実話である。
言葉の暴力である。
お父さんなんですよ?サラリーマンなんですよ?
スポーツだと、これは認められるのですか?
勝敗があなたの生活に影響があるんですか?
怒鳴られているお父さん審判の子どもも、この場にいるんですよ。
こんなやつ(相手の監督)は、野球や子どもの前どころか、シャバに居させてはいけない!絶対に!

大なり小なり、このような経験をしたお父さんは、たくさんいるはず。
しかし、社会問題として表面化することもなく、今も繰りかえされている。
何度も言うが、これは少年野球の指導者の人間性に起因する。
さらに何度も言うが、ほとんどの指導者は、人間性に問題がある。
わかっていただけただろうか。
トラウマというのも大袈裟な話ではない。
この『お父さん審判』という苦行は、一刻も早く根絶しなければならない。
社会への悪影響が増大するばかりである。
真の平和とは、戦争をなくすだけでは得られない。
